服作りの原点に立ち返る日本発の美意識

こんにちは、ファッション愛好家の皆さん。今日はこだわりの服作りを追求するジャパニーズブランド「Araki Yuu（アラキユウ）」について深掘りしていきます。量産工場での経験から生まれた、本質的なものづくりへの回帰と現代的解釈が融合した独自の世界観を持つブランドの魅力に迫ります。

創設者格言：荒木勇の美学

「量産工場で働いた経験は、私にとって服作りの原点を考え直すきっかけとなりました。大量生産・使い捨ての時代に、本当に長く愛されるものづくりとは何かを探求しています。」 – 荒木勇

Araki Yuuのデザイナー荒木勇氏は、資本主義的な大量生産の現場で働いた経験から、量産品とは対極にある本質的な服作りの重要性に気づいたと語ります。彼の言葉からは、服と人との関係性を大切にする哲学が伝わってきます。

「良い服は時間とともに着る人と共に成長します。一着の服が持つポテンシャルを最大限に引き出し、着る人の人生に寄り添うような服作りを目指しています。」

荒木氏は、着る人との長期的な関係性を前提とした服作りを追求し、一時的なトレンドではなく、時間の経過とともに価値が増す服づくりを心がけています。彼のデザインは、日本の繊細な美意識と普遍的な機能美を融合させることで、国内外で高い評価を得ています。

ブランド沿革：Araki Yuuの歩み

年	出来事
2009年	荒木勇が量産工場での勤務を経て、独立を決意
2011年	「Araki Yuu」ブランドを正式に立ち上げ。初のコレクションを発表
2013年	東京・青山の合同展示会に初参加。バイヤーからの注目を集める
2015年	国内主要セレクトショップでの取り扱いが開始。「素材研究」プロジェクトをスタート
2017年	パリでの展示会に初出展。ヨーロッパやアジアからの注目を集める
2019年	東京・中目黒に初の直営店「Araki Yuu Studio & Shop」をオープン
2021年	「Araki Yuu Archive」ラインを発表。過去の名作を再解釈したコレクション
2023年	サステナブルライン「Rebirth」の展開開始。廃棄予定の生地を再利用したコレクション

量産工場での経験から生まれたビジョン

Araki Yuuの創設者である荒木勇氏は、ファッションデザインを学んだ後、複数のアパレル量産工場で働いた経験を持ちます。大量生産の現場で、彼は資本主義的な効率優先の服作りに疑問を抱き始めました。「一着の服が持つ本当の価値とは何か」を問い続けた結果、2009年に独立を決意。2年間の準備期間を経て、2011年に自身の名を冠したブランド「Araki Yuu」を立ち上げました。

ブランド設立と初期の展開

ブランド設立当初から、荒木氏は「着る人との共生」をコンセプトに掲げました。初のコレクションは少数のアイテムで構成され、厳選された素材と丁寧な縫製が特徴でした。当時はまだ小規模な活動でしたが、その真摯な姿勢と独自の美学が少しずつ支持を集め始めます。特に、職人的なディテールへのこだわりと着心地の良さは、早くからコアなファンを獲得する要因となりました。

ブレイクスルーと国内での評価

2013年、東京・青山で開催された合同展示会への参加が、ブランドの転機となります。洗練されたミニマルデザインと素材へのこだわりが多くのバイヤーの目に留まり、翌年以降、国内の有力セレクトショップでの取り扱いが始まりました。2015年には、各地の伝統的な織物や染色技術を現代的に解釈する「素材研究」プロジェクトを開始。この取り組みは、日本のものづくりの魅力を再発見する機会となり、ブランドの独自性をさらに強めました。

国際的な展開

国内での評価を受け、2017年にはパリで開催されたファッション展示会に初出展。日本特有の繊細な美意識と普遍的な機能美を融合させたデザインは、ヨーロッパやアジアのバイヤーからも高い評価を受けました。特に、素材の質感を最大限に活かしたミニマルなデザインは、「新しい日本のミニマリズム」として注目を集め、フランスやイタリア、韓国、台湾などのセレクトショップとの取引が始まりました。

直営店の開設とブランド体験の提供

2019年、東京・中目黒に初の直営店「Araki Yuu Studio & Shop」をオープン。この店舗は単なる販売拠点ではなく、ブランドの哲学を体現する場として設計されました。店内では商品販売だけでなく、荒木氏自身によるワークショップや、素材選びから仕立てまでを体験できるカスタムオーダー、古くなった自社製品の修理サービスなども提供。「作り手と着る人との対話」を大切にする場として、多くのファンに支持されています。

アーカイブとサステナビリティへの取り組み

2021年には、過去のコレクションから特に評価の高かったデザインを現代的に再解釈する「Araki Yuu Archive」ラインを発表。ファストファッション全盛の時代に、「時代を超えて価値のあるデザイン」を提案する取り組みは多くの共感を呼びました。また、2023年からは廃棄予定の生地を再利用した「Rebirth」ラインを展開。サステナビリティへの意識を高めながらも、妥協のない品質とデザイン性を追求するアプローチは、現代のファッション業界における模範的な実践として注目されています。

ブランドライン：Araki Yuuのコレクション

メインコレクション

天然素材を中心に使用したウェアラブルなデイリーウェア。特にオーガニックコットン、リネン、上質なウールを用いた着心地の良いアイテムが特徴。シンプルながらも計算された立体的なパターンと職人による丁寧な縫製により、長く愛用できる普遍的なデザインを提案しています。シーズンごとにテーマを設定しながらも、一貫したミニマルな美学が貫かれています。

Araki Yuu Archive

2021年からスタートした、過去のコレクションから厳選されたデザインを現代的に再解釈するライン。「時代を超えて愛される服」をコンセプトに、ディテールや素材を見直しながらも、オリジナルの魅力を損なわないよう配慮されています。長く支持されたデザインに新たな命を吹き込むこのプロジェクトは、ファッションの「速度」に対する問いかけでもあります。

素材研究シリーズ

2015年から継続している、日本各地の伝統的な織物や染色技術に焦点を当てたシリーズです。京都の友禅染、徳島の阿波藍、沖縄の琉球絣など、各地の伝統技術を現代的なデザインに取り入れることで、失われつつある日本の技術を再評価する機会を創出しています。年に1〜2回限定で発表されるこのシリーズは、コレクター心をくすぐるレア性と文化的な深みを兼ね備えています。

Rebirthライン

コンセプト	特徴	主要アイテム
アップサイクル	廃棄予定の生地や過去の在庫を解体・再構築	パッチワークジャケット、リメイクバッグ、再構築シャツ
ゼロウェイスト	裁断時の端切れを最小限に抑えるパターン設計	モジュラーデザインのワンピース、変形カットソー
ナチュラルダイ	植物由来の天然染料のみを使用	草木染めスカーフ、インディゴデニム、ハーブ染めニット

カスタムオーダー

パーソナライズドサービス

直営店限定で提供されている特別サービス。顧客一人ひとりの体型や好み、ライフスタイルに合わせてカスタマイズされた一着を提案します。素材選びから採寸、フィッティングまで荒木氏自身が関わるこのサービスは、予約制で年間限定50着のみ。「作り手と着る人の対話」を最も重視する荒木氏のブランド哲学が凝縮されたサービスとして、熱心なファンから高い支持を得ています。

価格帯：Araki Yuuの投資価値

新品平均価格

Araki Yuuの製品は、厳選された素材と職人による丁寧な縫製により、決して安価ではありませんが、その品質とデザイン性を考慮すれば適正な価格設定と言えるでしょう。長期的な着用を前提としたデザインは、一着あたりのコストパフォーマンスも優れています。

アイテム	価格帯
Tシャツ/カットソー	¥15,000〜¥26,000
シャツ/ブラウス	¥26,000〜¥38,000
パンツ/スカート	¥28,000〜¥45,000
ワンピース/ドレス	¥42,000〜¥68,000
アウター	¥55,000〜¥98,000
素材研究シリーズ	¥38,000〜¥120,000
カスタムオーダー	¥85,000〜¥180,000

購入ルート：直営店（東京・中目黒）、公式オンラインショップ、取扱セレクトショップ（1LDK、BEAMS、THINK OF THINGS、45R、などの厳選されたショップ）

中古平均価格

長く愛用できる品質とタイムレスなデザインを特徴とするAraki Yuuの製品は、中古市場でも高い価値を保持しています。特に素材研究シリーズやアーカイブコレクションのアイテムは、希少性からむしろ価値が上がるケースも見られます。

プラットフォーム	価格帯（新品価格比）	特徴
メルカリ	60〜80%	比較的手頃な価格で見つかることも。一般的なアイテムが中心
ヤフオク	65〜90%	コレクターアイテムや限定品は新品価格を超えることも
専門古着店	70〜95%	状態の良いヴィンテージアイテムや素材研究シリーズは高値
オンライン古着マーケット	65〜85%	Grailed、Vestiaire Collectiveなど国際的プラットフォームでも人気